サクリファイス/近藤史惠
![]() | サクリファイス (2007/08) 近藤 史恵 商品詳細を見る |
ただ、あの人を勝たせるために走る。それが、僕のすべてだ。
勝つことを義務づけられた〈エース〉と、それをサポートする〈アシスト〉が、冷酷に分担された世界、自転車ロードレース。初めて抜擢された海外遠征で、僕は思いも寄らない悲劇に遭遇する。それは、単なる事故のはずだった――。二転三転する〈真相〉、リフレインの度に重きを増すテーマ、押し寄せる感動! 青春ミステリの逸品。
(出版社 / 著者からの内容紹介)
自転車ロードレースのことは、あまりよく知らないけれど、読んでみたら、その独特の世界観に圧倒されてしまいました。ミステリ要素もあるんですが、それよりもなによりも、ロードレースに人生を賭ける青年たちの物語で、個とチームの葛藤や苦悩も、それに対する一つの答えもあったりで、一気読みしてしまいました。
ネタバレ要素ありなので、未読の方はご注意ください。
題が『サクリファイス』で、最初はエースを勝たせるために、自分を犠牲にして走るアシストのことだと思っていたんですが、読み終わってみたら、かなり違う意味も含まれていることに気づき愕然。何も語ることなく逝ってしまった石尾に対して、彼のとった行動の意味を知り、感動とも違ううまく言い表せないけれど、エースであることの義務と責任の重さが、果たしてこの重さを理解しながらエースを勤めている人間が、いったい、どれほどいるんだろうかと考えたり、様々な思いに捕らわれてしまって眠れず…。
スポーツの世界に限った話ではないと思いますが、何かの道を極めようとすれば、人は必ずその頂点を目指すと思うのです。個人競技であれば、なおさら、自分ひとりが一番になることにとても執着すると思います。
ただ、ロードレースの世界だと、単純な個人競技とは異なり、個でありながら、チームの一員としても走ることになる。自分個人としては、なんとかいい成績を収めたいと思いつつ、チームの方針や戦略に従わなければならない葛藤がまずある訳です。チームのエースでなければ、アシストとして捨て駒にされる。捨て駒とわかっていながらも、自分がそれを勤めなければならない…。
端から見たら、エースは、アシストを踏み台にして勝利を掴むし、手柄は彼ひとりのものになる。賞金を分配したりして、チーム全体で勝利を享受できるとはいえ、記録には名前も残らないし、あまり報われているとも思えず。
だから、石尾がアシストたちの努力に報いるために、勝利に執着し、勝利のためなら何だってする覚悟もいとわなかった姿は、たとえ、それがチームメイトたちに厳し過ぎると陰口を叩かれようとも、純粋にプロとして当然だったと思うんだけど、石尾はそれを口に出さなかったからなあ。孤高で、煙たがられているエースというイメージを、物語のあちこちで植え付けられてしまったから、彼の死の意味を知り、彼からバトンを受取ってしまった白石や伊庭が、逃れられない重責を背負わされてしまったような気がして…。
でも、このバトンは石尾から始まったものではなくて、石尾の前のエースだった人から石尾に渡されたもので、やっぱりその人も、その前のエースから受取ったもので、そうやって、全員には知られずに、ひっそりと、確実に代々受け継がれてきたものなんだと思うと、バトンを受取った者はエースであっても、アシストであっても、自分を犠牲にして、次の代にバトンを渡すまで走り続けないといけないんですね。
サイクルロードレースの世界に入った時に、すでに己の身を供物として捧げたのだから。
・・・な〜んて、誰が上手いことを言えと。ただ、白石も言っていたことなんですけれど、「人には適材適所がある」のです。自分が生きている世界で、自分の役割を知り、必死にその役をこなすこと。それが、未来に繋がっていく気がします。
スポーツの世界に限った話ではないと思いますが、何かの道を極めようとすれば、人は必ずその頂点を目指すと思うのです。個人競技であれば、なおさら、自分ひとりが一番になることにとても執着すると思います。
ただ、ロードレースの世界だと、単純な個人競技とは異なり、個でありながら、チームの一員としても走ることになる。自分個人としては、なんとかいい成績を収めたいと思いつつ、チームの方針や戦略に従わなければならない葛藤がまずある訳です。チームのエースでなければ、アシストとして捨て駒にされる。捨て駒とわかっていながらも、自分がそれを勤めなければならない…。
端から見たら、エースは、アシストを踏み台にして勝利を掴むし、手柄は彼ひとりのものになる。賞金を分配したりして、チーム全体で勝利を享受できるとはいえ、記録には名前も残らないし、あまり報われているとも思えず。
だから、石尾がアシストたちの努力に報いるために、勝利に執着し、勝利のためなら何だってする覚悟もいとわなかった姿は、たとえ、それがチームメイトたちに厳し過ぎると陰口を叩かれようとも、純粋にプロとして当然だったと思うんだけど、石尾はそれを口に出さなかったからなあ。孤高で、煙たがられているエースというイメージを、物語のあちこちで植え付けられてしまったから、彼の死の意味を知り、彼からバトンを受取ってしまった白石や伊庭が、逃れられない重責を背負わされてしまったような気がして…。
でも、このバトンは石尾から始まったものではなくて、石尾の前のエースだった人から石尾に渡されたもので、やっぱりその人も、その前のエースから受取ったもので、そうやって、全員には知られずに、ひっそりと、確実に代々受け継がれてきたものなんだと思うと、バトンを受取った者はエースであっても、アシストであっても、自分を犠牲にして、次の代にバトンを渡すまで走り続けないといけないんですね。
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・・・な〜んて、誰が上手いことを言えと。ただ、白石も言っていたことなんですけれど、「人には適材適所がある」のです。自分が生きている世界で、自分の役割を知り、必死にその役をこなすこと。それが、未来に繋がっていく気がします。
Tag : 近藤史惠
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